世界で一番わがままな君とガラスの心臓

緩やかにカーブを描く石畳の階段。


その段差の上に、ふたつの影が並んで腰を下ろしていた。


首から一眼レフを提げた湊先輩と、大きな麦わら帽子を膝の上に置いた明日。


二人は言葉を交わすこともなく、ただ静かに、夕陽が傾き始めた海と、沖に浮かぶ弁天島のシルエットを見つめていた。


波音だけが、二人の間の沈黙を優しく満たしている。


誰も割り込めない、息をのむほど綺麗な静寂。


「あ……」


声になりかけ、私は自分の足元を見つめると、そっと半歩だけ引き返した。


胸の奥がキュッと甘く痛むのを感じながら、私は二人の背中にそっと祝福の眼差しを向けた。