世界で一番わがままな君とガラスの心臓

液晶画面に表示された『13.85』の数字。


ずっと超えられなかった自分の壁を、ついに破ることができたのだ。


「やった……やったぁーっ!!」


私は青空に向かって、思い切り両手を突き上げた。

熱い涙が目元から溢れ出て、頬を伝っていく。


けれどそれは悔し涙じゃない。自分の全力を出し切れたことへの、最高の達成感の涙だった。

(受け取ったよ、明日)


私の中で、明言から手渡されたバトンが、しっかりと繋がった感覚があった。


今度は、私の番だ。


この最高のタイムと、解き放たれた全力を胸に抱えて、あの静かな路地裏へ駆け出す番だ。


「先生、すみません! 今日の練習、これで上がらせてください!」


「おう、いいぞ! 明日もこの調子でな!」

「はい! ありがとうございました!」


私は急いでスパイクを脱ぎ、スニーカーに履き替えると、バッグを引っつかんでグラウンドを後にした。