世界で一番わがままな君とガラスの心臓

ゴールラインを切り、勢いのまま芝生の上へと倒れ込んだ。


視界いっぱいに、真夏の青空と眩しい雲が広がる。荒い呼吸に合わせて、胸が大きく上下していた。


全身の細胞が叫びを上げている。けれど、胸の中は今まで感じたことがないほど爽やかで、澄み渡っていた。


「……橘! 橘風花!」

駆け寄ってきた顧問の先生が、信じられないものを見る目でストップウォッチを私に突きつけた。


「十三秒八五……! 自己ベスト大幅更新だ! 十四秒の壁を破ったぞ!」

「え……!?」


がばっと起き上がると、部員の仲間たちが「風花、すごい!」「スランプ脱出じゃん!」と歓声を上げながら抱きついてきた。