冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

詩織さんは胸のファイルをキュッと抱え直すと、凛とした表情で私に背を向けた。


「誤解しないでくださいね。私はまだ、貴女に負けたとは思っておりませんから。……失礼いたします」


カツカツと優雅な足音を立てて生徒会室を出ていく詩織さん。 その背中はどこまでも品格があって、美しかった。


(設楽詩織さん……やっぱり、かっこいいライバルだな)


恋も、文化祭も、絶対に適当にはやらない。 胸の奥で、カッと新しい情熱の火が灯るのを感じた。


◇


詩織さんが立ち去り、生徒会室に残されたのは私と蒼汰くんの二人だけになった。


窓の外はすっかり茜色に染まり、長い影が部屋の中に伸びている。