冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

蒼汰くんはサッと横顔を向けると、ガリガリと猛烈な勢いで書類に判を押し始めた。紙が破れそうな勢いだ。


(え……? 風紀……? 陸くんがペンキ拭いてくれただけなのに……?)


首をかしげる私の横で、蒼汰くんの耳の先端がほんのり赤くなっているのが見えた。


(……もしかして月城くん、不機嫌なんじゃなくて……焼きもち……とか?)


まさかね、と自分で思い直して胸を小さく叩く。だけど、そのドクドクと跳ねる鼓動の音は誤魔化せなかった。


◇


「――朝比奈さん。少しお時間をいただけますかしら」


陸くんが去った後、生徒会室の奥から静かな声が響いた。

振り返ると、ハーフアップの黒髪ロングをなびかせ、凛とした佇まいで設楽詩織さんが立っていた。


「設楽さん。どうしたの?」