冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

「日葵ちゃん、すっかりクラスの人気者だね」

隣の席の結衣ちゃんが、嬉しそうに目を細めて微笑んでくれた。

「ううん、みんながちゃんと私を見てくれたからだよ。結衣ちゃんが最初に信じてくれたおかげ!」

「もう……日葵ちゃんったら」


照れる結衣ちゃんの横顔を見つめながら、私は胸の奥で小さくガッツポーズをした。

だけど、平和な余韻に浸っている暇はなかった。

今日のホームルームには、学校中が熱狂する一大イベントの議題が待っているのだから。


「――よし、みんな席につけー。今日のホームルームは、来月の文化祭の出し物決めだ」

担任の木村先生が黒板に大きく『文化祭出し物決め』と書くと、教室が一気にどっと湧き立った。

「きたぁぁーっ! 文化祭!」

「今年の2年B組は何やる!? 定番のメイド喫茶か!?」

「いや、お化け屋敷だろ! 暗闇でキャーキャー言われたい!」

黒板の前に学級委員が立ち、クラスのみんなからアイデアを募り始める。 けれど――。


「う〜ん……クレープ屋さんは隣のA組と被ってるしなぁ」

「お化け屋敷は予算オーバーだって生徒会から却下されそうだし……」


出される案はどれもありきたりで、なかなか「これだ!」という決定打に欠けていた。

話し合いが行き詰まり、教室にうーんと唸るような空気が漂いはじめた、その時だった。