冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

「では、失礼する」


早足で教室を出ていく蒼汰くんの背中。

なぜだか、いつもの完璧で静かな背中よりも、ほんの少しだけトゲトゲしているように見えた。


(あれ……? 月城くん、どうしたんだろ?)


不機嫌だった……のかな? だけど、なんで? 私、何か変なこと言ったっけ?


「なーんか、月城の奴、今日えらくツンツンしてなかったか?」 陸くんが首をかしげながらつぶやく。

「ううん……生徒会長として、みんなにしっかり勉強してほしいだけじゃないかな?」


私はそう答えたけれど、胸の奥で小さな疑問と、ほんの少しのモヤモヤが芽生えていた。

あの冷たい瞳の奥で揺れていた、理由のわからない感情。

不器用で真っ直ぐな生徒会長の、見たことのない表情が頭から離れなくて、私は去っていったドアの向こうをじっと見つめていた。