冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

「……これを使え」

「え? これって……」

ノートを開いてみると、そこには整然とした綺麗な文字で、歴史の時代ごとの因果関係と重要年号が、完璧なマインドマップのようにまとめられていた。無駄が一切なく、一目で全体像が把握できる究極のまとめノートだ。


「僕が去年、学年トップを取った時の整理ノートだ。君のノートは情熱は伝わるが、視覚情報が散らかっていて暗記の効率を落としている。このフォーマットを参考にすれば、無駄な時間を減らせるはずだ」


「……月城くん、これ……私に貸してくれるの?」


私は目を丸くして、ノートと蒼汰くんの顔を交互に見つめた。


「誤解しないでほしい」


蒼汰くんはすぐに横顔を向け、少しだけ声を硬くした。


「君が惨敗して醜態を晒せば、学校の雰囲気や生徒会の管理能力まで疑われることになる。……それに、生徒会長として、努力している生徒を無下に突き放すような真似はしたくないだけだ」

不器用で、硬くて、どこか頑固な言い方。 だけど――私は気づいてしまった。

(この人……冷酷で意地悪なわけじゃないんだ)

第一ボタンまで完璧に留めたネクタイと同じで、真面目すぎるくらい真面目で、規律や責任感を重く受け止めすぎているだけ。 自分の感情をどう表現していいか分からなくて、不器用な言葉になってしまうだけなんだ。


「……ふふっ」

「何が可笑しい」