冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

机の上に置かれた何冊ものノート。 何色ものマーカーで色分けされ、付箋で膨らみ、ページ全体がびっしりと手書きの文字と図で埋め尽くされた努力の痕跡。

参考書の端は何度もめくられたせいで少し丸まり、使い込まれていることが一目でわかる状態だった。


蒼汰くんの視線が、私のノートの上をゆっくりと滑っていく。 あんなに冷ややかだった瞳の中に、困惑と、そして言葉にできない驚きが揺れていた。


(ふふん。見たでしょ? 私が口だけのハッタリじゃないってこと!)

私はちょっと誇らしい気持ちになって、胸を張ってみせた。


「どう? 派手な転校生が書いてるノートには見えないでしょ?」


蒼汰くんはハッと我に返ったように視線を私に戻すと、少しだけ決まずそうに眉をひそめた。


「……効率が良いかと言われれば、疑問が残るな」

「えっ!?」

「色分けは綺麗だが、情報が過多だ。世界史の後半は年号の横並びの整理が不十分だし、重要語句の関連付けが甘い」


蒼汰くんは静かな声で、淡々と私のノートの改善点を指摘し始めた。


(な、なによそれ……! せっかく褒めてもらえるかと思ったのに!)


ムッとして「自分なりに工夫してるんだからいいでしょ!」と言い返そうとした、その時だった。


蒼汰くんは抱えていた資料の中から一冊の薄いノートを取り出すと、私の机の上にスッと置いた。