冷徹生徒会長が私に甘くなるまで

「ふぅ……よしっ! 完璧!」

校門の少し手前。ポケットから取り出した小さな手鏡をのぞき込み、私は唇にほんのりピンクのリップグロスを乗せた。ツヤツヤに潤った唇を見て、小さく頷く。

ゆるく巻いたピンクブラウンのロングヘアに、制服の上から羽織った萌え袖気味のベージュのカーディガン。 校則の範囲内で最大限におしゃれを楽しむのが、私――朝比奈日葵(あさひな・ひまり)の譲れないポリシーだ。


「今日からここが、私の新しい学校……!」


見上げる校舎は歴史を感じさせる重厚な造りで、どこかすんと澄んだ空気が漂っている。私立桜ヶ丘学園高校。高校2年の春、私はこの学校に転校してきた。

(大丈夫。逃げないって決めたんだから。私は私らしく、笑顔でいこう!)

胸の上でぎゅっと両手を握りしめ、自分に言い聞かせるように強く頷く。