私、前野夏葉。高校2年生。
私の親友の泉には幼馴染がいる。
八谷綾人っていうバカみたいに明るいお調子者。
……そして、わたしの好きな人。
きっかけは中2の時。クラス替えをしたばかりの頃の話。
「「さよーならー」」
チャイムが鳴った教室は、身支度を整えた生徒達がゾロゾロと帰ろうとしている。
ーーーガサッ
教科書の束をひっくり返してしまった私は慌てて床に落ちた教科書を拾おうとした。
「大丈夫かー?はいこれ!」
顔を上げるとそこには名前も知らない男子が拾って教科書を差し出してくれた。
「あ、ありがとう」
「俺、八谷綾人!名前、なんつーの?」
「前野。前野夏葉!」
「前野な!よろしくなぁ!あ、泉〜」
そういって八谷が呼び出したのは泉。
「前野だって!お前も友達になってもらえよー!俺しか友達いないだろ?」
「はぁ?何言ってんの。それはこっちのセリフなんだけど!
前野さんって言うの??下の名前教えて〜!」
「夏葉だよ!」
「え、夏葉ちゃん!かわいい名前だね〜!じゃあ、なっちゃんだ!決まりっ!」
これが私と泉と八谷の出会い。
そこからだんだん仲良くなって
3人で行動することが増えた。
気づいたらわたしは……八谷のことを好きになっていた。
それでもわたしは自分の気持ちを隠そうと毎日必死で。
だって、この3人でいられる時間が大好きだったから。
「うるさいっ、ハチのハゲ!!」
「だれがハゲだよ!ハゲてねーし!」
お決まりの夫婦喧嘩はいつものこと。
誰がどう見ても、八谷は泉のことが好きだし。
私が入る隙間なんて一切なかった。
だから2人を応援しようって、そう思ったんだよ。



