碧くんの好きが溢れてる② 〜あなたの好きで溺れそうなんですけど〜

 「碧くん!」と名前を呼ぶと、体が勝手に動いてバランスを崩した。倉庫の床に落ちようとしたときに碧くんが素早く私を受け止めてくれた。

気がつくと、私は碧くんの腕の中にいた。床には佐藤さんが尻餅をついた。

「何してるんだ!心配するだろう」

碧くんの顔が怖かった。開いた扉を見ると、先生や心配した凛の顔があった。碧くんは扉の近くにいた先生を見た。

「先生、心配かけました。やっぱり倉庫に閉じ込められていました」
「見つかって、よかったな」ほっとしたような先生。
「アリスが急にいなくなるから、心配したんだよ」
「ごめん。凛」
「はい、カバン。遅くなったから早く帰りな」
「ありがとう」
「先生ありがとうございました。俺、宇佐野を送ります」
「ああ、頼んだ」

碧くんが倉庫の床に私を降ろした。そして凛からカバンを受け取った。碧くんが手を引っ張って、倉庫から出ようとした時、佐藤さんがカバンを持った方の手首を握ってきた。

振り向くと碧くんが気づいて、佐藤さんと私の間に体を割り込んで腕を払いのけた。碧くんが怒っているのが分かった。

2人は一瞬、睨み合ったように見えたが、碧くんは私を強引に引っ張って倉庫から出した。

無言のまま、碧くんに手を引かれて校門まで向かった。私は何か言おうとしたが、碧くんの不機嫌な様子に言葉が出てこない

すると、校門の近くにある桜の木の裏に私を押し入れた。桜の木に背中を押し当てられて、逃げ道がない。びっくりしてカバンを落としてしまった。

碧くんは怖い顔して、私にいきなりキスをした。碧くんの舌が私の口の中に入ってきた。私の舌に当たり、かき回すようなキス。これって大人のキス?

私は全身痺れたような衝撃が走った。怖いけど、ときめいて、離れたいけど離れられない。

足の力が抜けて、背中にある桜の木を伝って、地面に落ちるようにしゃがみ込んだ。見上げると私の頬を両手で包み込み、ゆっくり跪いて、またキスをする。

見た目は王子様みたいだけど、私に貪るようなキスをしている野獣のような碧くん。私は碧くんから逃げられない。