碧くんの好きが溢れてる② 〜あなたの好きで溺れそうなんですけど〜

 体育倉庫は白線を引くときに使う炭酸カルシウムの粉っぽい匂いと土が混じった匂いが充満していた。

佐藤さんとバトンの箱を奥にある棚に置こうとしたら、何やら段ボールの小さい箱が崩れ落ちた。それを2人で片付けていたら、倉庫の扉が閉まった。慌てて扉を開けようとしたが、外から鍵をかけられたらしい。もしかして誰もいないと思ったのかな。

私と佐藤さんは扉を叩いて、外に人がいないか声を上げた。

「開けてください!」
「まだ私たちいます」
「誰か開けて!」

2人で叫んでみたけど反応がない。ドンドンと叩いても駄目。私たち、どうなるんだろう。

力尽きて2人は途方にくれた。シーンとなった倉庫の中で2人して考えた。見上げると細長い窓が高いところにある。佐藤さんが手を伸ばしたが、少し高すぎて届かない。佐藤さんが私に向かって真剣な顔をした。

「ねえ、宇佐野さん、僕が肩車するから、あの窓開けて外に出て」
「無理、無理。出ても高くて下に降りられないよ」
「でも外の様子を見て、誰か通ったら分かるかも。それに中から声を出すよりも、外に体を出して叫ぶと声が通るかも」
「うーん、他に考えられないから怖いけどやってみる」

佐藤さんが体を低くしたので、私は肩に乗った。

「じゃぁ、行くよ」
「ゆっくり上げてね」

この体制は恥ずかしいけど、そんなこと言ってられない。佐藤さんは、よろよろしながら私を肩に乗せて立ち上がった。窓には簡単に手が届いた。そして窓の鍵を開けた。

砂が窓のレールにあって、ガラガラと大きな音がした。すると出入り口の扉が、いきなり開いた。そこには碧くんが立っていた。