隣の席の泉宮くん(過去形)


泉宮くんがシュートを決めて、歓声が上がった。

今日は夏季球技大会。

泉宮くんは午後からのバスケの試合に出ていた。

私は午前中に彩ちゃんと、バレーの試合に出た。


お昼休憩を挟んで、午後からの競技が始まった。

「うわぁ……。華麗なレイアップシュートまで決めれちゃうんだ。天は二物を与えずって、言うけど例外がいるもんだね。」

隣で応援してる、彩ちゃんが感心した様に呟いた。

クラス対抗で争うから、クラスの応援をしてる。

バスケ、バレーの他には、テニスと卓球があった。

外より涼しい室内が良いから、私は外のコートでやるテニス以外なら、なんでも良かった。

彩ちゃんがバレーを選んだので、私もバレーにした。


泉宮くんは運動神経も良いみたい……。

成績も優秀。

中間テストの結果が発表されて、成績上位は廊下に名前が張り出される。

その中の一番上に、泉宮くんの名前があった。


「真緒〜、アイス食べに行こう。」

閉会式が終わり、通学鞄を肩に掛けた彩ちゃんが、早くと急かすので

「うん。ちょっと待って。」

と、水筒とタオルを鞄にしまってると、「桜森さん、アイス食べに行くの?」と音無くんが彩ちゃんに聞いた。

「俺も行きたい!」

彩ちゃんはお前は誘ってないと、嫌そうな顔をしてるが、音無くんは気付かないのか、ぐいぐい話し掛ける。


暑いからアイスを食べたいと、彩ちゃんと話していて、駅前にあるアイス屋さんに行こうと、約束していた。

一年一組は準優勝した。

運動部に入ってる人が多いから、結構強かった。

泉宮くんはバスケ経験があるらしいけど、バスケ部には入ってなかった。


“……桜森さんって、……彼氏いんの?”

音無くんは彩ちゃんが好きみたいで、彼氏がいるのかと聞かれた。

急に話し掛けられて、驚きと緊張から固まってると、その反応をどう受け取ったのか、

“ほら!いつも一緒にいるから、入夏さんなら、知ってるかと思って。”

慌てて言い訳する様に付け加えた。

“……いないみたいだよ。”

そう答えると音無くんは、“そっか。ありがとな!”と、走り去って行った。


彩ちゃんとは、中学から同じで仲が良いから、これまでも何度か聞かれた事がある。

彩ちゃんはそれを知ってるから、私に探りを入れてる時点で脈なしなのではと……。


「アイス食べに行くの?」

音無くんが大きな声で話すので、泉宮くんが話に入って来た。

「良いなぁ。俺も食べたい。」

泉宮くんがそう言うと、「あたしも食べたい!」と、女子数人が声を上げた。

そこから更にクラスメイト数人が加わり、打ち上げと称して、アイスを食べに行く流れになった。

彩ちゃんは音無くんと泉宮くんを、親の仇かと思うくらい睨み付けた。


「……真緒と二人で食べたかったのに……。」

可愛い事を言う彩ちゃんに、

「また、食べに行こうね。」

と、慰めると機嫌が良くなった。

泉宮くんは下心ではなく、純粋にアイスが食べたかったんだろうけど、大人数になった原因である泉宮くんに、彩ちゃんは不満気だった。


「入夏さんは何味にしたの?」

アイス屋さんでアイスを買い、イートインスペースで食べてると、泉宮くんが隣に来た。

「……期間限定のマンゴー。」

彩ちゃんは音無くんから、まだ一方的に話し掛けられていた。

泉宮くんはバニラを選んでた。


「葵!バスケの試合、ちょーカッコ良かった!」

「やばかったよね?!」

「最後、惜しかったよ。」

泉宮くんの下の名前を呼んで、楽しそうに話す姿に羨ましいと思った。