それは放課後。
教室に入ると、アイツが泣いていた。
誰もいないと思っていたのに、ぐすぐすとすすり泣く声が聞こえてくるから何事かと思えば。
「おまえかい」
私の声に、アイツこと、郷田(さとだ)のやつはゆっくりとこちらを見上げた。
うわ、顔ぐっしょぐしょ。
穴という穴から液体流れてるし。
「なんだよ、ぶさいくだな、深川(ふかがわ)」
呼吸をするようにディスりを添えてくるクソ野郎。
べつに自分が美女だという思い上がりもない。
ブサイクと言われても傷つきはしないが、間違っても現時点のおまえにだけは言われたくない。



