源一郎は薬包紙に包んだ薬を袋に入れていた。ふと顔を上げると、目の前に凪が立っていた。 「凪。どこに行っておった。今度、問屋から仕入れる薬草なんだが──」 「父上」 「な、なんだ」 まっすぐに通る凪の声に、源一郎は思わず息を飲んだ。 「お伝えしたいことがあります」 凪は今までに見たことがないほど、澄み切った清々しい表情をしていた。 ゆっくりと、力強くその口が開く。 「私が──麒麟堂薬舗を継ぎます」