夜勤を終えて丸一日が過ぎ、朝が訪れた。愛斗は病室へと向かい、まず血圧と体温を測定した。
数値を確認していると、隣のベッドでは患者が嚥下のトレーニングに励んでいた。
その様子を見守っていると、患者の妻が足早にやってきた。
「この前は、あなたのことを『残酷だ』なんて言ってしまって、本当にごめんなさい」
愛斗は穏やかな笑顔で応えた。
「いえ、まったく気にしていませんよ」
その後、愛斗は涼子を屋上へと誘い、二人きりで話をすることにした。朝の風が心地よく吹き抜ける屋上で、涼子は静かに口を開いた。
「愛斗くん、実はね…私、がんになってしまったの。咽頭がん、ステージ3。一ヶ月後に治療のため入院することになったわ。だから、私の担当の患者さんたちのこと、どうかよろしくね。……あ、それにね。貴之が大学受験に合格したの! やったわね!」
「本当ですか! おめでとうございます。でも、どうか無理だけはしないでくださいね」
「ありがとう。愛斗くんは本当に優しい人ね」
涼子の言葉を聞いて、愛斗は真っ直ぐに彼女の瞳を見つめ、思いの丈を打ち明けた。
「俺…涼子さんのことが好きです」
涼子は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに寂しそうに笑い、告げた。
「愛斗くん…私はがんなのよ。咽頭がん。今はまだ元気だけど、手術をしたら、上手く話せなくなるかもしれないし、ご飯だって食べられなくなるかもしれないの。顔だってきっと変わってしまうわ。痩せ細って、誰だか分からなくなるほどに…。そんな私が側にいたら、愛斗くんに迷惑がかかってしまうだけよ」
愛斗は涼子の手を強く握りしめ、揺るぎない思いを伝えた。
「それでも構いません。痩せ細っても、食事ができなくなっても、そんなことは全然関係ない俺が全力で支えます。辛いときは、いつだってそばにいますから」
その言葉を聞いて、涼子の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「…ありがとう。私も…私も愛斗くんのことが大好きだよ」
「本当ですか?」
「うん、本当だよ」
愛斗は心から嬉しさが込み上げ、思わず笑顔になった。涼子も同じように、幸せそうに微笑んだ。
二人は喜びを分かち合い、その後も話を続けた。それからマナと、その友人である吉田勇一に会うことになった。
勇一と顔を合わせると、愛斗は涼子と付き合い始めたことを報告した。
話に花を咲かせていると、叶淳子と叶央介が姿を現した。
勇一が二人と挨拶を交わすのを見て、愛斗も丁寧に頭を下げ、自分がこの病院で働いていることを伝えた。
「実は『みさき総合病院』で働いているんです。そちらに幸村さちさんという方がいらっしゃいますよね?」
央介は驚いたように愛斗を見た。
「えっ、知ってるの?」
「はい。」
「その方、僕の大ファンなんだよ。以前は毎日のようにライブに来てくれていたんだ。だけど、入院することになったって聞いて、それからは顔を出してくれなくなったんだ」
そうだったんですね…」
愛斗は幸村さちの様子を話しながら、ふと思い当たることがあり、「そういえば、うちの会社の同僚に、雰囲気がとてもよく似た人がいるんです」と付け加えた。
話は尽きることなく続いたが、そろそろ帰る時間となり、愛斗は家へ戻り、眠りについた。
朝が来て、愛斗はいつものように出勤し、一日の業務をこなした。仕事が一段落すると、再び涼子と屋上で会い、話をすることにした。
「実はね、知り合いに腕のいいパティシエがいるんだ。その人のところに貴之を雇ってもらえるかもしれないって、その話をしに来たの」
「そうなの、ありがとう!」
「あ、それから…幸村さんが話していた央介さん、昨日会ったよ」
「えっ、会ったの?」
「うん、会ったよ」
愛斗はスマートフォンを取り出し、央介と撮った写真を涼子に見た。
「わあ…! 信じられないくらい、そっくりすぎるわ…!」
涼子は写真を見つめ、目を見開いて驚いていた。
数値を確認していると、隣のベッドでは患者が嚥下のトレーニングに励んでいた。
その様子を見守っていると、患者の妻が足早にやってきた。
「この前は、あなたのことを『残酷だ』なんて言ってしまって、本当にごめんなさい」
愛斗は穏やかな笑顔で応えた。
「いえ、まったく気にしていませんよ」
その後、愛斗は涼子を屋上へと誘い、二人きりで話をすることにした。朝の風が心地よく吹き抜ける屋上で、涼子は静かに口を開いた。
「愛斗くん、実はね…私、がんになってしまったの。咽頭がん、ステージ3。一ヶ月後に治療のため入院することになったわ。だから、私の担当の患者さんたちのこと、どうかよろしくね。……あ、それにね。貴之が大学受験に合格したの! やったわね!」
「本当ですか! おめでとうございます。でも、どうか無理だけはしないでくださいね」
「ありがとう。愛斗くんは本当に優しい人ね」
涼子の言葉を聞いて、愛斗は真っ直ぐに彼女の瞳を見つめ、思いの丈を打ち明けた。
「俺…涼子さんのことが好きです」
涼子は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに寂しそうに笑い、告げた。
「愛斗くん…私はがんなのよ。咽頭がん。今はまだ元気だけど、手術をしたら、上手く話せなくなるかもしれないし、ご飯だって食べられなくなるかもしれないの。顔だってきっと変わってしまうわ。痩せ細って、誰だか分からなくなるほどに…。そんな私が側にいたら、愛斗くんに迷惑がかかってしまうだけよ」
愛斗は涼子の手を強く握りしめ、揺るぎない思いを伝えた。
「それでも構いません。痩せ細っても、食事ができなくなっても、そんなことは全然関係ない俺が全力で支えます。辛いときは、いつだってそばにいますから」
その言葉を聞いて、涼子の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「…ありがとう。私も…私も愛斗くんのことが大好きだよ」
「本当ですか?」
「うん、本当だよ」
愛斗は心から嬉しさが込み上げ、思わず笑顔になった。涼子も同じように、幸せそうに微笑んだ。
二人は喜びを分かち合い、その後も話を続けた。それからマナと、その友人である吉田勇一に会うことになった。
勇一と顔を合わせると、愛斗は涼子と付き合い始めたことを報告した。
話に花を咲かせていると、叶淳子と叶央介が姿を現した。
勇一が二人と挨拶を交わすのを見て、愛斗も丁寧に頭を下げ、自分がこの病院で働いていることを伝えた。
「実は『みさき総合病院』で働いているんです。そちらに幸村さちさんという方がいらっしゃいますよね?」
央介は驚いたように愛斗を見た。
「えっ、知ってるの?」
「はい。」
「その方、僕の大ファンなんだよ。以前は毎日のようにライブに来てくれていたんだ。だけど、入院することになったって聞いて、それからは顔を出してくれなくなったんだ」
そうだったんですね…」
愛斗は幸村さちの様子を話しながら、ふと思い当たることがあり、「そういえば、うちの会社の同僚に、雰囲気がとてもよく似た人がいるんです」と付け加えた。
話は尽きることなく続いたが、そろそろ帰る時間となり、愛斗は家へ戻り、眠りについた。
朝が来て、愛斗はいつものように出勤し、一日の業務をこなした。仕事が一段落すると、再び涼子と屋上で会い、話をすることにした。
「実はね、知り合いに腕のいいパティシエがいるんだ。その人のところに貴之を雇ってもらえるかもしれないって、その話をしに来たの」
「そうなの、ありがとう!」
「あ、それから…幸村さんが話していた央介さん、昨日会ったよ」
「えっ、会ったの?」
「うん、会ったよ」
愛斗はスマートフォンを取り出し、央介と撮った写真を涼子に見た。
「わあ…! 信じられないくらい、そっくりすぎるわ…!」
涼子は写真を見つめ、目を見開いて驚いていた。

