完璧な三神くんは、愛だけがわからない。


***


そして土曜日早朝。森咲宅。私は強い女に変身するためにくるちゃん家にお邪魔していた。どうやら強い女ってのは時間がかかるらしい。


「春苺はさ、素材はめちゃくちゃ良いんだけど、まだそれを生かしきれてないのよ。特に髪。ボリュームがあるから野暮ったく見えちゃうのがもったいない。前髪も少し薄くシースルーにしたら可愛いと思うんだけどいじっていい?」

「うんうん」

くるちゃんには8歳の離れたお姉ちゃんがいて、美容師をしている。まだ若いのに店長として働いていて、いずれは自分でお店を持ちたいらしい。

今日はそんなお姉さまが、私を変身されてくれるようだった。


「そういえば普段前髪長めで目にかかってるじゃん。私は春苺の目すっごい可愛いと思っているんだけど、長めにしてるのには何か理由があるの?」

「……」