完璧な三神くんは、愛だけがわからない。


私が三神くんと出会ったのは、ちょうど一年程前の入学式だった。学校の玄関先にクラス毎の担任の先生と生徒の名前が張り出される。

張り紙の前は、たくさんの新入生が押し寄る。真新しい制服の布地の匂いが、春の空気に混じって漂っていた時だった。


「ちょっとごめんね、通してもらえる?」

「……っ、」

切れ長の黒みがかった瞳に通った鼻筋、薄めの唇、黒髪無造作ヘアがナチュラルなのに艶っぽくて、綺麗で、目が離せなかった。彼の背後から後光が差しているように見える。

ひとめぼれ、って存在するんだって、この時思った。

何一つ、会話なんてしていない。それでも。自分の教室に行き、さっきの男の子がいないことに落胆した。気がついたら彼のことを考えてしまっていて、これが恋なのだと自覚した。