人形少女と二人ぼっち

「大丈夫。ましろが着てる制服、わたしのだから」

いのりは、笑っていた。自分の服が汚れることなんて、どうでもいいようだった

「ましろ、一緒に見れたね、夜の海」

うん…

夜のアンティークショップで見た、金属に跳ね返った鈍い光なんて比べ物にならないくらい、たくさんの明るい光が瞬いていた

波の音が聞こえる

いのりが、ずっと来たかった場所は、ここだったの?

いのりは、しばらく暗い海を見つめていた

「ねぇ、花帆姉…」

「どうしたの?」

「わたし、高校行きたい…」

「え…?」

いのりは、外へ出るのも怖くなくなったし、夜の海の星も見れたから、もう、それでいいんじゃないの?

「わたしさ、このまま、花帆姉に頼ってばっかりじゃ、だめだと思って」

「そんなこと、考えなくていいのに…

ほんとに、高校受験したいの?」

「うん、行けるのかどうかわかんないけど、受験は受けたい」

「そう、分かった。いのりがそう言うなら応援する」