人形少女と二人ぼっち

「いのり、そろそろ、海岸行ってみない?」
花帆は、バーベキューのコンロの後片付けをしながら言った

「うん、そうだね。ねぇ、ましろの車椅子、砂浜で動くのかな」

「そうね、それ、考えてなかったな…」
花帆は、手を止めた

「わたし…、抱っこしていくよ、ましろ」

え?

重くは…、ないの?

「ましろと、どこにでも行けるように、わたし、鍛えたんだよ」

いのりは、私の肩と膝に手を回し、抱きかかえてくれる

身体が宙に浮く

いのりの顔が、下から見える

ここから、あそこまで、私を運ぶの?

「お姫さま抱っこなんて、いのり、かっこいいことするのね」

「へへっ」

いのりは、夜の砂浜を、私を抱きかかえたまま、少し砂に足を取られながら歩いた

波打ち際が近づいてくる

「この辺でいいかな」
いのりは、私を砂浜に下ろして座らせてくれた

隣に、いのりも膝を抱えて座る

「二人とも砂で汚れるわよ」

花帆は、少し距離を置いて、膝を曲げてしゃがんでいるようだった