人形少女と二人ぼっち

「あっ、海!」
いのりが、声を上げた

「ほんとだ、今ちらっと見えたね」

え? 海?

私は、真正面を向いている。いのりが見ている窓の外は見えない

「ましろ…、その角度だと見えないよね」

「ましろの首、動かしてあげて」
花帆がさりげなく言う

「え!? 首動くの?」

動く。関節があるのだから

「ゆっくり、横に向けてあげて」
花帆は、ハンドルを操作しながら言った

「なんか、怖いよ」

「大丈夫!」

いのりは、私の頬を両手で優しくし支えて、首を窓の方へ向けてくれた。私の首の球体関節は、軋むことなく、滑らかに動く

「ねぇ、ましろ、大丈夫?」
いのりは、本当に心配そうだった

私のブロンドの髪が肩から落ちる。横の窓から、外の景色が良く見えた

「ほら、また見えた!」

道路際の林が途切れて、どこまでも続く青が見えた

「ましろ、あれが海だよ。ましろの瞳みたい…」

私の瞳…

自分で自分の目を見たことなんてない。あんな色なんだ