人形少女と二人ぼっち

私が初めて花帆に会ったのは、あのアンティークショップだった

私は、店の奥の花弁の舞う天蓋の下、ベルベットの椅子に座らされていた

決して、愛想の良いほうではなかった
人形に、愛想なんてあるのかと思うかもしれない

けれど、私は、興味本位で私に覗き込んだり、触れようとする客には、瞳のガラス玉の鋭い光を容赦なく向けた
ほとんどの客は、私のことを「怖い」と言うか、「寂しそうな子だ」と言うだけだった

そのくらい、私は、人間が嫌いだった

ある雨の日、一人の若い女性が店に来た
パンプスを履いて、髪をポニーテルにした会社員風の女性だった
彼女は私を見るなり、息を呑んで、本当に"息が止まりそうに"なっていた

ひとしきり、私の前で呆然とした後、彼女は、店主に聞いた

「あの…、こちらの子に触れても良いでしょうか?」

店主は、答えた

「はい、もちろんですよ。ただしこの子が嫌がったら、すぐにおやめください」

"嫌がる"と言う言葉に、彼女は一瞬戸惑ったようだった