人形少女と二人ぼっち

「さあ、焼き始めるからね」

「うん…」

花帆は天板をオーブンに入れた。焼き上がるまで、いのりは、何度もオーブンの中を覗いていた

「そんなに見ても、すぐには変わらないよ」

「だって気になるんだもん」

テーブルに座ったままの私にかかった小麦粉を、花帆が、少し払ってくれる。クッキーは、どうなるのだろうか

しばらくして、オーブンの焼き上がりを知らせる音が鳴った

「完成?」

「うんん、まだ、やることがあるの」

花帆は、お湯を沸かしていた。チョコレートを湯煎に掛けているようだった。しばらくして、私の前に、天板を持ってくる

「いのり、このチョコレート、クッキーにかけてくれる?」

「うん、分かった…。これでいい?」

いのりは、スプーンでチョコレートを少しずつすくって、焼き上がったクッキーにかけていく。そこへ、花帆が銀色の粒を散らしていった

「なにそれ?」

「アラザンよ。昨日、買っておいたの」