人形少女と二人ぼっち

「わたしね、海に行ってみたいんだ。夜の海」

夜の、海…

「海ってね、こないだ行った湖より、もっと広くって、反対側が見えないくらい大っきいの」

いのりは、どうしてそこへ行きたいの?

「夜になるとね、波の音だけが聞こえて、すっごく星が綺麗なんたって」

星、どんなものだろうか

「星ってね、夜になると、空に小さな光がいくつも見えるの。このベランダからでも見えるけど、夜の海だと、もっとたくさん見えるから」

夜になると見える、小さな光

私は、夜のアンティークショップを思い出した。灯りが全て落とされて、銀細工や鏡や宝石が、かすかな光を受けて瞬いている。私の青いガラス玉は、そんな光を映していた

星と言うのは、そういうのとは違うのだろうか

「星はね、すっごく遠いところにあってね、だけど、その光だけは見えてるの。だから、たくさん見てみたい」

すっごく、遠い…

いのりは、もっと遠いところに憧れているのだろうか