人形少女と二人ぼっち

翌日の朝、花帆は、いつもより少しだけ弾んだ声で、いのりに声をかけた

「じゃあ、お姉ちゃん行ってくるからね。朝ごはんの後片付け、よろしくね」

「うん、分かった」

「行ってきます。いのり、ましろ」

「いってらっしゃい、花帆姉」

玄関のドアが閉まる。

「ましろ、置いといていいからね。わたし、昼に食べるから」

いのりは、私の前に置かれた朝ごはんに、ラップをかけた。もう、いつもの光景だ

「ねぇ、花帆姉、また週末どこかに連れて行ってくれるって言ってたでしょ? ましろに色んなもの見せたいって…
ましろは、行ってみたいところとか、見てみたいものってあるの?」

行ってみたいところ…。考えたことがなかった。あの湖は綺麗だったと思う。だけど、私は外の世界をほぼ知らない

「そうだよね。ましろ、外に出たことないんだもんね」

いのりは、空になった朝ごはんの食器をキッチンにさげる

いのりは、行ってみたい場所はあるのだろうか?