人形少女と二人ぼっち

一本の整備された小道が、林の中へと続いている

「さあ、この道よ、行きましょう」

「うん」

いのりは、私の車椅子を押して林道を進んだ。秋めく風が、私のブロンドの髪を揺らす。木陰からはキラキラとした木漏れ日が差し込む

「なんか、気持ちいいね」

「そう、良かった」

いのりの口からそんな言葉が飛び出したのが、意外だった。もう、いのりが怖がっている様子はない

私達は、林の奥へと進んだ。突然、視界が開ける

「きれい…」

いのりは、その光景を見て、息を呑んだ

湖面の輝く青い湖が、林の間に現れた

「あ、鳥がいる!」

「どこ?」

「あそこ、3羽、白い鳥が浮かんでる」

「あっ、ほんとだ、家族かな?」

私の瞳のガラス玉にも、その湖と水鳥は映った

ここには、誰も私たちを見る人はいない。いのりが怖がるようなことは何もない
誰が用意したわけでもない、きれいな景色が、私達を包みこんでいた