人形少女と二人ぼっち

いのりが大学の近くのアパートへ旅立つ日、私たち2人は、いのりの部屋にいた
  
本棚や、机の上の物が随分と少なくなっていた

いのりは、花帆が私たちに買ってくれたオルゴールの蓋を開ける。きらきらした音が流れる

「ねぇ、わたしが大学行って、この家離れたら、寂しい?」

寂しいに、決まってるでしょ

「ごめんね…」

あやまらないでって言ったじゃない、いのりが悪いんじゃないんだから

「夏休みには帰るから」

待ってる

「ねぇ、わたしは、大人になっていくけど、ましろは、ずっと少女のままなんでしょ?」

うん、私は、変わらない、ずっとこのまま

「少し、寂しいな…」

人形なんて、人間なんて、そんなものだよ

「わたしさ、お人形だったらいいのにって、ましろに言っちゃったこと、覚えてる?」

そんなことも、あったね

「わたしね、ましろの世界で、一緒にいられたから、今があるんだと思う」