人形少女と二人ぼっち

谷口の真剣な視線は、私とカンバスを行ったり来たりする

だけど、谷口の目は、すごく穏やかだった

描かれるために見られるのは、いつしか心地よくなっていた

「でね、もう、色ちで3色布も買ってあるんだ」

みゆは、いのりにチェック地の布を見せているようだった

「へー、すごい。わたしは何色?」

「こっちの水色かな」

「楽しみ!」

みゆは、ミシンの用意を始めた。それから、手芸の本を見ながら裁断しているようだった

「えっと、ここ、こうやって切って…」

「意外と簡単そうだね」

「そう思うでしょ?」

ミシンのレバー下ろす音が聞こえる

針が上下する音が聞こえ始める。すぐにギギっと言う音を立てて、ミシンは止まった

「あー、もう、なんで、糸絡まるの?」

「みゆ、布を前に押さえすぎなんじゃない?」

「えー? じゃあ、いのりやってよ」

「わたしもできないって!」

谷口は、くすくすと笑っていた