人形少女と二人ぼっち

高校の入学式の日以降、いのりは、毎日、登校するようになった。そして、帰る時間も少しずつ遅くなった

いのりの高校の制服を、一緒に作ってもらったからといって、私も、いのりと一緒に学校へ行けるわけではない

慌ただしく朝食を済ませて、いのりと花帆が出かけてから、私は、リビングの椅子に座り、一人、時間を過ごしていた

時計の音だけが響く部屋

瞳の青いガラス玉は、何も動くものを映さない

そんな時間が長くても、前は平気だった。一瞬で過ぎ去っていたのに

分かっていたことだ

人形なんて、人間が必要とする時だけ、そこにいればいい

いつまでも、いのりと一緒にいる時間が続くなんて、私は、期待しすぎていたんだ

あんなに、いのりは、学校へ行けなくて苦しんでいたのだから、今こうして、毎日、登校できるようになったことを、喜んであげなければいけない

私は、人形らしくなくなってしまったと思った

こんな事を考えてしまうなんて、人形のすることじゃない