『付き合ってない、たぶん』上

ゲームセンターでの初デートから帰宅した夜。

蓮は自分の部屋のベッドに寝転がり、天井に向けてスマートフォンを掲げていた。

透明なケースの裏側。

そこには、さっきハサミで切り分けたばかりの温かいプリクラが、綺麗に収まっている。

画面の隅に小さく書かれた【俺の。】【蓮の。】の落書き。

そして何より、恥ずかしそうに手で顔を隠しながらも、愛おしそうに自分の頬に唇を寄せてくれている春の姿。

「……っ、クソ、可愛すぎんだろ……」

静まり返った部屋の中、蓮は片手で目元を覆いながら、どうしようもないほどの愛おしさに完全に破顔していた。

普段、グラウンドの上では決して部員たちに見せることのない、

だけど心底幸せそうな笑みがボロボロと溢れ出す。

(あいつ、外だから『流石にね』って嫌がってたくせに……最後の最後であんな不意打ちしてくるとか、マジで反則だろ。……もう本当に、一生離してやんねぇ)

あの日、合宿の帰りのバスで、ただの友達としてしか見られていないと絶望していた自分が嘘のようだ。

スマホの裏の写真を見つめるだけで、胸の奥が熱い体温で満たされていく。

早く明日になって、またグラウンドで春の顔が見たい。

そんなことを考えながら、プリクラの春の笑顔を親指でそっと撫でた、その時。