『付き合ってない、たぶん』上

放課後の教室。

クラスの出し物の買い出しという名目で、俺――春は、陸を中庭の隅に引っ張っていっていた。

「……え!? 春、お前あの告白コーナーに出る気なのか!?」

陸がわざとらしく驚いた声を上げる。

もちろん、全ては拓海たち包囲網の計算通りなのだが、春は慌てて陸の口を塞ぐように声を潜めた。

「しっ、声がでけぇよ陸! ……うん。蓮に、ちゃんと気持ちを伝えようと思って。でもさ……もし振られたら、明日からどんな顔して会えばいいんだろ。幼馴染を続けることだって、できなくなっちゃうよな……」

本気で泣きそうな顔で床を見つめる春。

中等部からずっと一緒にバカやってきた仲だからこそ、そんな弱音を陸には吐き出せる。

陸は内心で「計画通り!」とガッツポーズをしつつ、肩をガシガシと叩いた。

「大丈夫だって春! 男は度胸だろ! 蓮だって、春にそんな風に言われたら絶対に……あー、いや、とにかく逃げてちゃ何も始まらないぜ。俺が蓮にバレないように枠を確保しといてやるから、お前は当日、ステージに上がる覚悟だけしとけ!」

「……おう。ありがと、陸。蓮には、マジで絶対内緒な?」