『付き合ってない、たぶん』上

「そ、そういえばさ、俺たち幼馴染だし、間接キスなんて、今さら普通だよな!」

ボトルを握りしめたまま、俺は、引きつった笑顔で笑ってみせた。

ここで動揺したら、蓮を男として意識しているのが、一発でバレてしまう。

「……あ?あぁ、そうだな。幼稚園の頃から一緒だし、普通だろ」

蓮も、いつも通りの冷淡な声で、すぐに相槌を打ってきた。

お互いに、「ただの幼馴染」というお馴染みの安全地帯に逃げ込むように。

だけど、その声は、二人とも少しだけ上ずっていた。

((普通なわけ、ねぇだろ……っ!!!))

心の中の絶叫は、完全にシンクロしている。

「じゃ、そろそろ戻るか。午後の練習始まるし」

「うん、そうだね」

お互いに、絶対に目を合わせないようにしながら、部室の裏からグラウンドへと歩き出す。