『付き合ってない、たぶん』上

一方その頃、蓮は――。

(……あー、マジで心臓に悪い)

蓮は、自分の口元を手のひらでがっしりと覆いながら、必死に理性を保っていた。

もちろん、さっき普通に飲んでいた。

嘘をついたのは、100%わざとだ。

(お前が他の男にベタベタされて、分かりやすく拗ねて逃げるから……。つい、意地悪したくなったんだろ。……つか、真っ赤になって気づくとか、反則)

ゴク、と喉を鳴らしてボトルを咥えていた春の唇が、頭から離れてくれない。

ただの男友達の距離感を、強引に飛び越えようとしているのは、他でもない、蓮のほうだった。