『付き合ってない、たぶん』上

「あ、おい、春……っ」

後ろから、蓮の焦ったような声が聞こえる。

だけど俺は振り返らず、誰もいない所へと走り出してしまった。

(何これ……。ただの友達なのに、なんでこんなに苦しいの……っ)

溢れそうになる涙を、ユニフォームの袖で、必死に拭う。

そのとき、バタバタと激しい足音が追いかけてきて、俺の腕が、後ろから強引に掴まれた。

「……春!待てって!」