『付き合ってない、たぶん』上

「危ねぇ!」

ガシッ、と、強い力で腕を引かれた。

気づけば、俺の身体は、蓮の広い胸の中に、すっぽりと収まっていた。

「お前、マジで危ねぇだろ!集中しろ!」

蓮の、焦ったような怒鳴り声が響く。

「ごめん……っ」

蓮の胸から、慌てて離れようとする。

だけど、蓮の腕は、がっしりと俺の腰を抱きしめたまま、離してくれなかった。

「……春。お前、本当にどうしたんだよ」

耳元で聞こえる、低くて、ひどく心配そうな声。

いつもなら、「蓮があったかいから~」って、もっと甘えられたのに。

今は、蓮の優しさが、切なくて、涙が出そうなくらい痛かった。