『付き合ってない、たぶん』上

「お前らー、そろそろ消灯だぞ。早く布団入れ」

部活の先輩の声がして、大部屋の電気がパチリと消された。

修学旅行さながらに、ずらりと並べられた布団。

俺の布団は、もちろん蓮のすぐ隣だ。

「なぁ、ちょっと恋バナしようぜ」

暗闇のなか、クラスメイトの拓海が、ひそひそ声で仕掛けてきた。

男子校の合宿の夜。

こういう話題になるのは、お約束みたいなものだ。

「お前ら、好きな奴とかいないの?」

「……ん、俺は、もう眠い……っ」

俺は、わざと大きなあくびをしてみせた。

お風呂での蓮との会話を思い出して、急にドキドキしてしまったのだ。

そのまま、布団を頭までかぶって、タヌキ寝入りを決め込むことにした。