『付き合ってない、たぶん』上

「ふはーっ!生き返る……っ!」

地獄の練習が終わり、夕食後の自由時間。

俺――春は、宿舎の奥にある露天風呂に浸かっていた。

ここは、2人用の小さな岩風呂だ。

たまたまタイミングが良くて、今は俺と蓮の、二人きりだった。

「マジで、今日の練習きつかったな」

「本当だよ。蓮がガチで来るから、全身筋肉痛になりそう」

そう言って、湯船の中で、蓮のたくましい肩に頭を預ける。

昼間の試合では、あんなにバチバチに戦っていたのに。

お風呂に入った瞬間、いつものゼロ距離に戻ってしまう。

「……お前、湯船の中でも距離近いだろ」

「いいじゃん、誰も見てないんだから」

湯気の中に、蓮の整った横顔が浮かんでいる。

濡れた前髪から、水滴が、鎖骨へと滴り落ちた。

(……やば、なんか、男の人の身体って感じ。急に、ドキドキしてきた……っ)

密着する蓮の肌の熱さに、俺の心臓は、お湯の温度以上に熱くなっていく。