『付き合ってない、たぶん』上

部活に行っても、いつも一緒に走っていたグラウンドの左側には誰もいない。

学校が終わっても、ゼロ距離で並んで歩く帰り道は、嘘みたいに広くて寒かった。

「おい、春。そんな生ける屍みたいな顔すんなって! ほら、今日の放課後マック行くぞ、マック!」

拓海がわざと明るい声を上げて、俺の肩を組んでくる。

「春がそんなに元気ないと、調子が狂うよ」
 
凛もいつもの涼しい目のまま、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「うん……ありがと、みんな。大丈夫だよ」

なんとか笑顔を作って見せるけれど、胸の奥に空いた特大の穴は、どうしても埋まってくれなかった。