『付き合ってない、たぶん』上

『じりじり』と、窓の外から蝉の鳴き声が容赦なく降り注ぐ。

遮光カーテンが引かれた薄暗い部屋の中、俺は、ベッドの中で、ただ天井を見つめていた。

(……今日なんだよね。蓮が、行っちゃうの)

カレンダーの、今日の日付には小さく花丸がつけてある。

蓮が東京に行く日。

そして――俺の、17歳の誕生日。

学校を休んだこの数日間、涙も枯れるほど泣いた。

『別れて欲しい』と言った時の、蓮のあの泣きそうな、だけど絶対に曲がらない目を思い出すたびに、胸の奥が引き裂かれそうになる。

(蓮のバカ。俺のこと可愛いとかかっこいいとか、そんなのどうでもいいよ。俺は、蓮の隣にいられるなら、どんな青春だってよかったのに……)

インターホンが小さく鳴ったような気がしたけれど、出かける気力なんて1ミリも湧かなくて、俺は枕に深く顔を埋めた。