『付き合ってない、たぶん』上

あまりの衝撃に言葉を失う俺に、蓮はさらに、胸の骨を粉々に砕くような言葉を、冷徹な声で付け足した。

「……だから、春。俺と、別れて欲しい」

「……え?」

心臓が、一瞬だけ止まった気がした。

「東京に行ったら、もう今までみたいに毎日一緒に走ることも、同じクラスで笑い合うこともできねぇ。遠距離なんて、お前を縛り付けるだけで苦しめる。……お前には、ここで普通の、幸せな高校生活を送ってほしいんだ。だから……夏休みまでに、幼馴染に戻ろう」

蓮の切れ長の瞳は、今にも涙がこぼれ落ちそうなくらい切なく揺れていた。

それが蓮なりの、身を削るような「不器用な優しさ」だということは分かった。

でも、俺にとっては、これ以上ないほど残酷な裏切りだった。

「……っ、なんで、そんなこと勝手に決めるんだよ……っ!!」

俺は叫ぶように言うと、机の上のカバンをひったくり、

止まらない涙をユニフォームの袖で拭いながら、夕暮れの教室から飛び出した。