『付き合ってない、たぶん』上

「おい、今日の午後からの紅白戦、ビブスの色でチーム分けるぞ!名前呼んだ奴から取りに来い」

合宿所のグラウンド。

ぎらぎらと照りつける太陽の下、顧問のホイッスルが響く。

いよいよ本格的な練習が始まる。

俺は、今度こそ蓮と同じチームになれると、どこかで期待していた。

「――赤チーム、蓮。……次、青チーム、春」

顧問の口から出た言葉に、俺は思わず、小さく息を呑んだ。

「お前ら二人は、うちのツートップだからな。あえて分けて戦わせる」

周りの部員たちから、「うわ、敵同士かよ!」

「ガチバトルじゃん!」と、はやし立てる声が上がる。

俺はすぐに顔を作って、蓮に向かって、にっと不敵に笑ってみせた。

「手加減しないからね、蓮」

「そっちこそ、泣き言言うなよ、春」

グラウンドの上では、いつもの距離感バグな空気は一切ない。

お互いに、チームを引っ張るエースの顔。

だけど、青いビブスを頭からかぶった瞬間、俺の胸は激しくざわついていた。

(いつもは、蓮のパスを一番いい場所で待ってるのに。今日は、蓮を止めなきゃいけないんだ……)