『付き合ってない、たぶん』上

放課後の男子校は、部活へと向かう生徒たちの騒がしい声で満ちていた。

だが、その喧騒から切り離されたサッカー部の部室の中だけは、まるで空気そのものが凍りついたかのような静寂が支配していた。

まだ誰も来ない時間帯。

ユニフォームへの着替えを途中で止めたまま、

拓海、陸、凛の3人は、ベンチの前に立つ蓮を囲むようにして立ち尽くしていた。

「……おい、蓮。話ってなんだよ、改まって」

拓海がいつも通りの軽いトードで口を開こうとしたが、蓮の表情を見た瞬間、その言葉は喉の奥に引っ込んだ。

蓮の切れ長の瞳は、試合中のどんなに追い詰められた局面よりも鋭く、

そして、どこか悲痛なまでの重い光を帯びていた。