このままでいい。
このままずっと……。
変わらずリビングにいる俺。
ダイニングにいる美香。
二人は、壁越しに縮めた距離を、移動することでズラしてしまうんじゃないか。
そんな不安を感じていたんだと思う。
確かに、俺がそうだった。
だから美香も、きっと……。
これでいいんだよ。
この世界を、間違いにしたくない。
ずっと……ずっと。
間違いじゃないまま、大切な思い出にしよう。
そう思い立った瞬間、勢いに任せて立ち上がっていた。
そして、ダイニングに戻り、美香を見つめた。
『ねー、美香』
『アイスコーヒー淹れてよ』
『それ飲んだら行くよ』
『うん』
美香は少し笑って、
『あんまり引き留めると、ゆうを待ってるお客さんに怒られちゃうよね』
そう言って、キッチンへ向かった。
木製のコースター。
冷えたアイスコーヒー。
白く細長いストロー。
ガムシロップにミルク。
いつものセットだった。
カラン。
コースターに置かれた瞬間、氷が鳴った。
相変わらずだな……お前。
俺はアイスコーヒーを一気に飲み干した。
本当は、ゆっくり味わいたかった。
そのつもりだった。
けど……美香を見ていたら、無理だった。
『ご馳走様』
カバンから領収書を取り出し、机の上に置いた。
『時間できたらでいいから、振り込み宜しくお願いします』
久しぶりに敬語を使っていた。
これは仕事だ。
当たり前だよな。
俺は席を立った。
もう、振り返らない。
壁は、人を隔てるためだけにあるんじゃない。
大切なものを守るためにもある。
そして、そこに小さな隙間があれば、
人はちゃんと繋がれる。
このままずっと……。
変わらずリビングにいる俺。
ダイニングにいる美香。
二人は、壁越しに縮めた距離を、移動することでズラしてしまうんじゃないか。
そんな不安を感じていたんだと思う。
確かに、俺がそうだった。
だから美香も、きっと……。
これでいいんだよ。
この世界を、間違いにしたくない。
ずっと……ずっと。
間違いじゃないまま、大切な思い出にしよう。
そう思い立った瞬間、勢いに任せて立ち上がっていた。
そして、ダイニングに戻り、美香を見つめた。
『ねー、美香』
『アイスコーヒー淹れてよ』
『それ飲んだら行くよ』
『うん』
美香は少し笑って、
『あんまり引き留めると、ゆうを待ってるお客さんに怒られちゃうよね』
そう言って、キッチンへ向かった。
木製のコースター。
冷えたアイスコーヒー。
白く細長いストロー。
ガムシロップにミルク。
いつものセットだった。
カラン。
コースターに置かれた瞬間、氷が鳴った。
相変わらずだな……お前。
俺はアイスコーヒーを一気に飲み干した。
本当は、ゆっくり味わいたかった。
そのつもりだった。
けど……美香を見ていたら、無理だった。
『ご馳走様』
カバンから領収書を取り出し、机の上に置いた。
『時間できたらでいいから、振り込み宜しくお願いします』
久しぶりに敬語を使っていた。
これは仕事だ。
当たり前だよな。
俺は席を立った。
もう、振り返らない。
壁は、人を隔てるためだけにあるんじゃない。
大切なものを守るためにもある。
そして、そこに小さな隙間があれば、
人はちゃんと繋がれる。



