自動ドアをくぐり、真っ直ぐレジに向かう。
森下さんは、どこか勝手が分かっていない様子だった。
「わたし、初めて来たの」
小声で俺に呟いてきた。
「あー、確かに……」
腑に落ちる。
俺は現場作業が主体でやってきたから、ほか弁とは友達くらいフランクに付き合ってきた。
いわば、当たり前の存在だ。
でも森下さんは初めてだったんだ。
確かに……
そうだよな。
なんとなく、そんな感じがする。
そう思いながら、
「何がいい?」
と思わず聞いてしまっていた。
すかさず、
「何がおすすめ?」
と俺を見上げて見つめてくる。
待って……
ちょっと近いよ。
焦る俺を無視するように、同じ場所から続ける。
「同じのがいい」
「じゃー、チキン南蛮ね」
動揺してませんよ、という雰囲気を絞り出すように全身に塗りたくって答えた。
「チキン南蛮がおすすめ?」
また子猫が見上げる。
「明太のり弁かチキン南蛮しか食ったことない」
反抗期の高校生ばりにレジを見つめながら返した。
完全に……
いや、普通にダサい俺がいた。
大工さんのこと。
仕事のこと。
シートに座って待っている間、森下さんは俺に質問をぶつけ続けた。
俺は感じていた。
俺がブレーキをかけていることに気付き、同じように一生懸命ブレーキをかけようとしている森下さんを。
会計を済ませ、帰路につく。
何を話したのか。
何を聞かれたのか。
はっきりと思い出せないまま、公園の駐車場に着いた。
降りようとする俺に、森下さんが言った。
「ここで食べたいな……」
「この距離で、この感じで食事するの初めてじゃん」
「いつもお弁当は車で食べるの?」
「うん」
それしか言えない俺がいた。
「じゃー今日は、ここで二人で食べよ」
「うん」
そう言うと、俺は森下さんの膝の上で待機しているお弁当を受け取った。
左手が触れた。
一瞬だった。
俺はその左手を握りしめながら、
右手でお弁当を受け取っていた。
森下さんは、どこか勝手が分かっていない様子だった。
「わたし、初めて来たの」
小声で俺に呟いてきた。
「あー、確かに……」
腑に落ちる。
俺は現場作業が主体でやってきたから、ほか弁とは友達くらいフランクに付き合ってきた。
いわば、当たり前の存在だ。
でも森下さんは初めてだったんだ。
確かに……
そうだよな。
なんとなく、そんな感じがする。
そう思いながら、
「何がいい?」
と思わず聞いてしまっていた。
すかさず、
「何がおすすめ?」
と俺を見上げて見つめてくる。
待って……
ちょっと近いよ。
焦る俺を無視するように、同じ場所から続ける。
「同じのがいい」
「じゃー、チキン南蛮ね」
動揺してませんよ、という雰囲気を絞り出すように全身に塗りたくって答えた。
「チキン南蛮がおすすめ?」
また子猫が見上げる。
「明太のり弁かチキン南蛮しか食ったことない」
反抗期の高校生ばりにレジを見つめながら返した。
完全に……
いや、普通にダサい俺がいた。
大工さんのこと。
仕事のこと。
シートに座って待っている間、森下さんは俺に質問をぶつけ続けた。
俺は感じていた。
俺がブレーキをかけていることに気付き、同じように一生懸命ブレーキをかけようとしている森下さんを。
会計を済ませ、帰路につく。
何を話したのか。
何を聞かれたのか。
はっきりと思い出せないまま、公園の駐車場に着いた。
降りようとする俺に、森下さんが言った。
「ここで食べたいな……」
「この距離で、この感じで食事するの初めてじゃん」
「いつもお弁当は車で食べるの?」
「うん」
それしか言えない俺がいた。
「じゃー今日は、ここで二人で食べよ」
「うん」
そう言うと、俺は森下さんの膝の上で待機しているお弁当を受け取った。
左手が触れた。
一瞬だった。
俺はその左手を握りしめながら、
右手でお弁当を受け取っていた。



