ぐっと堪えて前を向いた。
シフトをDに切り替え、走り出した。
「走りながらで悪いけど、ほか弁でも良い?」
そう聞きながらアクセルを踏み込んだ。
心にはブレーキをかけながら……
心配だから、心のサイドブレーキもしっかりと。
本当は、どこかお店でも入ってゆっくりしたかった。
でも、そこは配慮も必要だ。
買い出し。
言い訳の出来る範囲での行動を心掛けた。
「うん。なんでも良いよ」
少し間を置いて、
「なんだって嬉しい」
森下さんが俺を真っ直ぐ見つめて話しているのが分かった。
でも俺は、安全運転に集中しているフリをした。
「あのね……」
彼女は続けた。
「ほら、あの日。旦那がいた日ね」
「原澤さん、わたしの思いを真っ直ぐ旦那にぶつけてくれたじゃん」
「熱くね……」
クスッと笑った。
「あの時さ、覚えてる?」
森下さんの今を見つめてあげてください。
森下さんの明日の笑顔を想像してあげてください。
そう言ってくれたの。
正直、覚えていた。
もちろん。
本心で向き合っていたから。
でも、とっさにとぼけてしまっていた。
「そんな熱いこと言ってた……?」
照れ笑いで誤魔化した。
「うん」
少し間を空けて、彼女は続けた。
「わたしね、ほんとに嬉しかったの」
「目の前で、わたしを守ってくれてるって」
「キュンとしちゃった」
「ありがとうね」
「ほんとに……ありがとう」
そして、少し声を落として続けた。
「だからね、もう呆れられたかなとか……」
「何なんだ、あいつって思われたかなって考えたら、わたしから連絡出来なかったの……」
「ごめんなさい」
そう言うと、森下さんはそっと視線を前に戻した。
「そんなことない」
本心をぶつけただけだ。
俺の方が……
俺の方がずっと不安だったんだ。
そう心の声に蓋をして、俺は答えた。
サイドブレーキを、しっかり引きながら。
「いや、こちらこそありがとうだよ」
と、訳の分からない「こちらこそ」を付け加える。
それが精一杯だった。
少し寂しそうにする森下さんを、横目に感じながら、ほか弁に着いた。
サイドブレーキなんか……
ブレーキなんか必要か……?
彼女は俺に、アクセルを踏んできてくれたんだぞ。
悶々としながら、二人でほか弁へと向かった。
シフトをDに切り替え、走り出した。
「走りながらで悪いけど、ほか弁でも良い?」
そう聞きながらアクセルを踏み込んだ。
心にはブレーキをかけながら……
心配だから、心のサイドブレーキもしっかりと。
本当は、どこかお店でも入ってゆっくりしたかった。
でも、そこは配慮も必要だ。
買い出し。
言い訳の出来る範囲での行動を心掛けた。
「うん。なんでも良いよ」
少し間を置いて、
「なんだって嬉しい」
森下さんが俺を真っ直ぐ見つめて話しているのが分かった。
でも俺は、安全運転に集中しているフリをした。
「あのね……」
彼女は続けた。
「ほら、あの日。旦那がいた日ね」
「原澤さん、わたしの思いを真っ直ぐ旦那にぶつけてくれたじゃん」
「熱くね……」
クスッと笑った。
「あの時さ、覚えてる?」
森下さんの今を見つめてあげてください。
森下さんの明日の笑顔を想像してあげてください。
そう言ってくれたの。
正直、覚えていた。
もちろん。
本心で向き合っていたから。
でも、とっさにとぼけてしまっていた。
「そんな熱いこと言ってた……?」
照れ笑いで誤魔化した。
「うん」
少し間を空けて、彼女は続けた。
「わたしね、ほんとに嬉しかったの」
「目の前で、わたしを守ってくれてるって」
「キュンとしちゃった」
「ありがとうね」
「ほんとに……ありがとう」
そして、少し声を落として続けた。
「だからね、もう呆れられたかなとか……」
「何なんだ、あいつって思われたかなって考えたら、わたしから連絡出来なかったの……」
「ごめんなさい」
そう言うと、森下さんはそっと視線を前に戻した。
「そんなことない」
本心をぶつけただけだ。
俺の方が……
俺の方がずっと不安だったんだ。
そう心の声に蓋をして、俺は答えた。
サイドブレーキを、しっかり引きながら。
「いや、こちらこそありがとうだよ」
と、訳の分からない「こちらこそ」を付け加える。
それが精一杯だった。
少し寂しそうにする森下さんを、横目に感じながら、ほか弁に着いた。
サイドブレーキなんか……
ブレーキなんか必要か……?
彼女は俺に、アクセルを踏んできてくれたんだぞ。
悶々としながら、二人でほか弁へと向かった。



