見積もりには書けないもの

その瞬間、LINEが鳴った。

山崎さんはニヤリと笑いながら言った。

「携帯、見せれる?」

「私が奥さんなら、そう言っちゃうかな……」

なんだろう。

女の勘。

山崎さんは、少し笑いながら続けた。

「原澤さんってさ……やっぱ素直なんだよ」

「わかっちゃうよ」

そう言いながら、山崎さんは笑い続けた。

「芳江さんちに行くんでしょ?」

「さっき、楽しそうにアイスを2つ買いに来て教えてくれたよ」

「芳江さん……」

「これから彼氏が来るんだって」

「ハハハッ!」

笑いながらも、山崎さんは横目でレジ待ちの列を確認している。

「……」

振り返っても、誰もいない。

「モテ期?笑」

「あーあ……残念」

「私じゃないんだ……」

そんな冗談を言いながら、山崎さんはまた笑った。

そして、ふっと俺の顔を見る。

「彼女が待ってるよ」

「いってらっしゃい」

会計を済ませ、俺は車へと向かった。

人付き合いって、いいな……。

そんな思いを胸に、車のドアを開ける。

エンジンをかけ、シートに身体を預けた。

ふと、携帯を開く。

さっきのLINE。

わずかながらに期待していた。

森下さんかな……。

今後のやりとりのために交換したばかりのLINEは、

『宜しくお願いします』

と、羊がお辞儀をするスタンプで止まっていた。

そこに――

続けて、メッセージが書き込まれていた