『原澤さん、、』
一瞬の沈黙が、不安をよぎった。
熱く語り過ぎたか……。
また、空気を読めない俺が出たのか……。
氷が溶けて、だいぶ薄まったアイスコーヒーに目をやり、無意識に救いを求めていた。
すると、目に薄っすらと涙を浮かべた森下さんが、笑顔とともに顔を上げた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
『ごめんなさいね、急に……』
少し間を置いて、森下さんは続けた。
『ただね、原澤さんのお話の中で……普段は壁の内側の新しい空間で過ごせばいい。でも、微笑ましくも思える場所を、無くさなくてもいいんじゃないかって……』
俺は黙って森下さんを見ていた。
『この壁は、森下さんの今と過去を区切る壁にしませんか?』
そう言った森下さんの目から、涙がこぼれた。
『なんか……凄く色々な感情が湧き出ちゃって……。ごめんなさい』
俯きながら涙を拭い、それでも精一杯の笑顔で森下さんは話してくれた。
なんだか俺まで、目頭が熱くなってきた気がした。
確かに伝えていた。
壁の意味を。
わずかに隙間を開けてから立てる壁だからこそ、閉鎖的にもならない。
息子さんが帰ってきた時、今度はダイニングに座るだろう。
キッチンから声を掛けてくれる母親のために。
そうすることで、今度からはまた新しい空間が、新しい物語を始めてくれる。
そんな光景を思い描きながら、俺は必死に語っていた。
壁を作ることで話はまとまり、クロスや棚の話を煮詰めれば煮詰めるほど、趣味が合うことも分かってきた。
打ち合わせを重ねるたびに、居心地の良さが加速していった。
間仕切り壁は茶色のレザー調の壁に。
カウンターはライトグレー。
全体のクロスは落ち着いたベージュにして、幅木は白へ変更した。
床も、パナソニックの「ウスイータ」を重ね張りすることにした。
ウスイータは1.5mm厚。
床リフォームでは最強の助っ人だ。
色は新色、新デザインのグレーの石張り風。
俺も初めて扱う柄で、楽しみがまた一つ増えた。
ソファーの後ろにあったエコカラットは、全体のバランスを考えてクロスにすることにした。
そして森下さんは、そのエコカラットを貼る予定の場所に、絵を飾ることにした。
打ち合わせもだいぶ進み、少しずつ方向性が見えてきた。
気がつけば、時計は十二時をちょうど指すところだった。
同じように壁の時計へ目を向けた森下さんは、少し慌てたように俺に話しかけてきた。
一瞬の沈黙が、不安をよぎった。
熱く語り過ぎたか……。
また、空気を読めない俺が出たのか……。
氷が溶けて、だいぶ薄まったアイスコーヒーに目をやり、無意識に救いを求めていた。
すると、目に薄っすらと涙を浮かべた森下さんが、笑顔とともに顔を上げた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
『ごめんなさいね、急に……』
少し間を置いて、森下さんは続けた。
『ただね、原澤さんのお話の中で……普段は壁の内側の新しい空間で過ごせばいい。でも、微笑ましくも思える場所を、無くさなくてもいいんじゃないかって……』
俺は黙って森下さんを見ていた。
『この壁は、森下さんの今と過去を区切る壁にしませんか?』
そう言った森下さんの目から、涙がこぼれた。
『なんか……凄く色々な感情が湧き出ちゃって……。ごめんなさい』
俯きながら涙を拭い、それでも精一杯の笑顔で森下さんは話してくれた。
なんだか俺まで、目頭が熱くなってきた気がした。
確かに伝えていた。
壁の意味を。
わずかに隙間を開けてから立てる壁だからこそ、閉鎖的にもならない。
息子さんが帰ってきた時、今度はダイニングに座るだろう。
キッチンから声を掛けてくれる母親のために。
そうすることで、今度からはまた新しい空間が、新しい物語を始めてくれる。
そんな光景を思い描きながら、俺は必死に語っていた。
壁を作ることで話はまとまり、クロスや棚の話を煮詰めれば煮詰めるほど、趣味が合うことも分かってきた。
打ち合わせを重ねるたびに、居心地の良さが加速していった。
間仕切り壁は茶色のレザー調の壁に。
カウンターはライトグレー。
全体のクロスは落ち着いたベージュにして、幅木は白へ変更した。
床も、パナソニックの「ウスイータ」を重ね張りすることにした。
ウスイータは1.5mm厚。
床リフォームでは最強の助っ人だ。
色は新色、新デザインのグレーの石張り風。
俺も初めて扱う柄で、楽しみがまた一つ増えた。
ソファーの後ろにあったエコカラットは、全体のバランスを考えてクロスにすることにした。
そして森下さんは、そのエコカラットを貼る予定の場所に、絵を飾ることにした。
打ち合わせもだいぶ進み、少しずつ方向性が見えてきた。
気がつけば、時計は十二時をちょうど指すところだった。
同じように壁の時計へ目を向けた森下さんは、少し慌てたように俺に話しかけてきた。



