さっそく、班会議が始まった。
周りの班は、意見を出し合ってうまくいってそう。それなのに2班は⋯⋯。
あーだこーだ言う中園。
本を読んでいるのがバレバレな岡田。
帰りたそうにしているちほちゃん。
ソワソワしている瑞嶋。
正直この班をまとめる自信がない。
「岡田!本読んでるのバレてるから!勇者なんだったら、もっと堂々としなさいよ!」
「え?勇者?て、照れるな⋯⋯」
「世良さーん、堂々としてたら読んでいいってことになっちゃうよー」
ここで中園の余計な一言が。拳を強く握ってグッと堪える。
「た、確かに。とりあえず、照れてないで岡田はちゃんと参加して」
「はい⋯⋯」
唇を噛みしめた岡田は、本をちゃんと机の奥にしまってくれた。
注意したはいいものの、まだ何も進んでない。
「⋯⋯えっと、何したらいいんだろアタシは」
「えー、リーダーなのに何も分かってないんですか?世良さんは」
「ぐっ」
中園にチクッと言われ、ぐうの音も出ない。
「と、とりあえず配られたプリント確認してみよう」
ここで、副リーダーがナイスアシスト!
チラッと見えたプリントには、『決めること』の文字が。箇条書きもしてあった。
「瑞嶋ナイス!」
ペンを置いた瑞嶋は、プリントで顔を隠した。
そこから少しずつみんなが喋り始めて、2班もやっと動き出す。アタシの出番はナシ。
「じゃあ行き先とか時間も決めたし、今日のところはここまでということで。決まったことは後でチャットで共有する。で、どうですか?リーダー」
「素晴らしい!なら詳しそうな中園にチャットは託した」
「え?リーダー?僕がチャットまとめんの?」
アタシの横で、ちほちゃんが小さく手を挙げていた。
「私も、その案良いと思う。だって世良さんも、岡田君も、瑞嶋君も、チャットを使いこなせないと思うから」
「「「え」」」
ちほちゃんの毒でアタシと瑞嶋と岡田の声がハモる。見透かされているのも恥ずかしいのに、この2人と一緒にされたことが何よりもショック。
「なら、後で僕がグループチャット作っとくから。クラスのグループチャットには入ってるよね?そこから友達追加するから」
「「「「⋯⋯入ってない」」」」
ハモった声が4人に増えた。
「え⋯⋯そこからなの?ちょっと待って⋯⋯」
中園は呆れながら、スマホをバッグから取り出し、ため息をつく。
「世良さん、マドンナから招待されてるじゃん!何で入ってないの」
「⋯⋯スマホあんま見ないし、よく分かってなかったかも」
ちほちゃんの毒がまだ効いてるのか、みんなの顔が、より見れない。
「それと、瑞嶋君と岡田君は招待すらされてないね⋯⋯」
瑞嶋と岡田は無言で手を取り合う。
「最後に、加藤さんは何で入ってたのに抜けてんの?」
ちほちゃんの目が、急にスッと細くなった。
「あんまり動いてなかったから⋯⋯いいかなって」
シーンとなる2班。瑞嶋と岡田も取り合った手を離す。アタシも握りしめてた消しゴムを、机に置いた。
「ちほちゃん!そんな悲しいこと言わないでアタシ達とまた入ろうよ」
「ううん。私はいいかな」
微笑んでるはずなのに、悲しく見えるちほちゃん。そんなちほちゃんのプリントには、ニコちゃんマークの落書きが。
「え、ダメダメ。リーダーとして命じる!ちほちゃんは強制参加!あ、あと班のグループにも。よろしく」
「入ってない人がよく言うなー。感心するよ」
中園の言葉にみんなが『その通り』と言わんばかりに相槌を打つ。それにはムッとなったが、思わず吹き出してしまった。
だって、この班で初めてみんなが笑ってたから。⋯⋯恥ずかしいけど。
「ちなみにさ、中園。クラスのグループチャット?はアタシ達以外はみんな入ってんの?」
「うーん、あと招待すらされてない人がもう2人もいるな⋯⋯佐藤君と田中君かな」
「あー岡田その2と岡田その3ね!なら岡田、2人も後で招待しといて」
「由加梨、俺だけじゃなくて他の人にも?」
困惑している瑞嶋をよそに、キラッと目を輝かせ立ち上がった岡田。
「はい、任せてください!」
夕日が差し込んでいたせいか、ほんのちょっぴり岡田が勇者に見えた。
「なら放課後、どこかで集まってチャットグループ作ろう。そのときにチャットのやり方とか教えるから」
今回ばかりは、中園に頭が上がらない。
「待って!放課後はバイトあるから、集まるならアタシはバイト後になっちゃうな」
「え、由加梨バイトしてたの?」
瑞嶋のペンの動きが止まって、インクが滲む。
「まぁ最寄り駅近くのファミレスでバ」
「なら!場所はリーダーのバイト先に決定!」
「は?」
なんのためらいもなく決める中園。やっぱりさっきのは訂正で。
「あ!よくよく考えたらアタシ今日は、遅くまでバイトだったかも⋯⋯」
「え?由加梨だって今日⋯⋯」
さっきした話を言いそうだったので、瑞嶋に目で圧力をかける。
が、プリントで阻止されてしまった。
「あ、19時からやるお笑い番組を家族で見るって言ってました⋯⋯」
本当に信じらんねぇなコイツ。バカ正直にペラペラと!副リーダー失格。
「じゃあ番組は配信で見てもらうとして、集合場所は決定ね。嘘つきさんには権限ないからねー自業自得」
勝ち誇ったような顔で中園に言われてしまった。
働いてるところを見られたくなくて、バイト先はアタシの最寄り駅のとこにしたのに。
なんで、みんなも離れた場所なのにオッケーなんだよ!
ということで放課後、泣く泣く2班はアタシのバイト先に集まることに。
そしてアタシは、放課後すぐに着信履歴からヒロを探した。
