「なあ」

電話の向こうから、あなたの声がした。

「ん?」

「俺さ、あの子のこと、本当に大切にしたいんだ」

私は目を閉じた。

「うん」

「絶対幸せにしたい」

少しだけ沈黙して。

私は笑った。

「……じゃあ、ちゃんと幸せにしてあげなよ」

本当は言いたかった。

その人より私の方が先に好きだったのになぁ。

私の方が、ずっと前からあなたのことを見てたのになぁ。

でも。

私は知っていた。

あなたがその人を好きなくらい。

その人もあなたを想っている。

だから。

私じゃ、やっぱりダメなんだ。

「頑張ってね」

「うん」

「私、応援してるから」

「ありがとう」

最後まで。

私は嘘をついた。